K.ヤイリ カスタムショップ

K.Yairi カスタムショップ マスタークラフトマン 小池健司

子どもの頃からモノづくりが好きで、木工芸の専門学校を卒業後、先代の社長に導かれてギター職人になりました。当時はまだ、楽器の存在自体が珍しかった時代。私自身もヤイリギターに入社して初めてギターに触れたのですが、木の個性が形と音色の両方で表れるギターづくりの奥深さに魅了され、懸命に技術を磨きました。そして気がつけば、工房内で2番目の古株に。時が経つのは本当に早いものだと実感しています。
「オリジナルの図柄でインレイを入れたい」「ボディをこんな形にできないか」といったお客様からのご要望にお応えする中でカスタムサービスが生まれ、これまでに「By-Ken」シリーズとして300本以上のオーダーメイドギターを創ってきました。オーダーメイドギターは、お客様一人ひとりの夢やこだわりが原点。それらを丁寧に伺いながら“オンリーワン”の形にしていくことは私にとって大きなやりがいであり、積み重なっていく財産となっています。
自然の中で何十年、何百年の年月を生きてきた木に対し、「大切に使わせていただきます」という畏敬の念や感謝の気持ちを持つことも忘れません。これは先代から受け継いだヤイリギターの精神です。今後もその精神を守り、体力の続く限りずっと現役でやっていきたいと思います。

WORKS

K.Yairi カスタムショップ マスタークラフトマン 丹羽雪男

カスタムギターは、お客様から「自分だけの1本を」とオーダーいただく特別な製品。定番品とは異なり、ひとりの職人がお客様との打合せから製作まで、一貫して担当するのが特徴です。こうすることで、お客様の思いやこだわりを高いレベルで追求し、形づくることができるんですね。
もう半世紀以上も前のことになりますが、私は家具職人を志して木工芸の専門学校で学び、卒業後、縁あってヤイリギターへ。先代の社長や先輩方から仕事の手ほどきを受け、ギター作りを生涯の仕事にしようと思いました。当時、職人たちはみんな工場のすぐ近くの寮で一緒に生活していて、文字通り「同じ釜の飯」を食べた仲。そして先代の社長は私たちにとって憧れであり、懐深い父親のような存在でした。
そんな先代がいつも口ぐせのように語っていた「木を大切に、ムダなく使え」という言葉は、仕事をする上で心の羅針盤になっています。年輪はもちろん、節やシミも木の個性。木と向き合い、対話しながら材として生かすことは、各工程の丹念な作り込みにも通じ、ヤイリのギター作りの根幹をなすものです。
先代から半世紀に渡って薫陶を受けることができた幸運な職人として、ヤイリの技術とものづくり思想をひとりでも多くの若手に伝えていくこと。それが今後の私に課せられた使命だと考えています。

WORKS

K.Yairi カスタムショップ クラフトマン 道前暁伸

入社以来、ミニギター製作ひと筋でここまでやってきました。かつて、ヤイリの「Enjoy」を携え、好奇心の赴くまま世界中を旅していた私が今、ヤイリのミニギター製作に携わっている・・・不思議な運命の巡り合わせを感じずにはいられません。
ミニギターは名前の通り、通常のクラシックギターと比べてサイズが小さいので、音の響きとデザインを調和させるのがとても難しいんです。でも「ここの仕組みを変えたら、おもしろいものができるんじゃないか」とか、「もっとこうしたら良い音になるんじゃないか」と考えることが楽しく、私はミニギター製作に夢中になりました。そうした取組みの中で、「ダンデライオン」や「ノクターン」などの新製品が誕生。一方で固定観念にとらわれない新しいスタイルのオリジナルのミニギター製作にも挑戦してきました。それらがクラフトマンとしての私の糧になったと自負しています。
ミニギター部門がカスタムショップに編入したのを機に、オーダーメイドミニギター専門のクラフトマンに転向。お客様と対話しながら、細部まで理想に叶った究極の1本を創るオーダーメイドは、定番品の製作とはまた違ったやりがいがあります。当社にオーダーメイドギターをご用命いただく機会がありましたら、どんな小さなご要望でもお気軽にお話しください。そのご希望に、最大限の努力でお応えします。

WORKS

リペア・クラフトマン 松尾 浩

ヤイリギターの製品は木材の乾燥から仕上げまでこだわって耐久性を追求していますが、それでも故障したり、不具合が起きることがあります。木が生き物である以上、個体差やご使用環境の影響を免れることはできないんですね。だからこそ、必要となるのが私のようなリペア職人。お客様のギターをお預かりして、修理やメンテナンスを施すのが仕事です。時にはプロミュージシャンのコンサート会場に赴いて“救急”対応を行うことも。弦が切れてしまった、ボディに傷がついてしまった、ピッチが微妙にずれてしまった・・・症状にひとつとして同じものはありません。中にはダメージが大きいケースもあるのですが、それぞれにお客様とギターの間で紡いだ物語がありますから、「いい仕事しなきゃ」と思いますね。
東日本大震災の後、東北地方から修理のご依頼があり、泥だらけになった1本のギターが届きました。聞けば、震災で息子さんを亡くされたご依頼主様にとって形見の品とのこと。鎮魂の祈りを込めて修復させていただき、お返ししたところ、大変喜んでくださいました。息子さんが大切にされていたそのギターは今、仏壇に供えられているそうです。
ヤイリギターが世の中にある限り、リペアは必要な仕事。これからも、ギターを愛していらっしゃる方のお役に立てるよう、努力していきます。